「動機は自分の中にある。新潟を愛する本屋さんの、今までとこれからの軌跡(1/2)」はこちら
✒︎自分のためにやるということ
ーそだたべさん、ポッドキャストでラジオ番組もやっていますよね。あれも本屋さんとしての一つの形なんじゃないかと思いました。
そだたべ:そうですね。本屋に関しては社会的な意義というか、皆さんのためというのも少しありますが、ラジオに関してはほんと自分のためにやってます。
何が自分のためかというと、ラジオに出演された方も気分上々になって欲しいんですけど、自分が気分上々になりたいんですよ。
自分の気持ちが上がらなければ、周りの人のことを上げることもできないし。
その中で私が何をしたいかというと、自分が面白いなとか楽しいなとか尊敬できる人と喋りたいんです。
喋りたい人と喋るきっかけとして「ラジオをやっているのでちょっと喋ってくださいませんか、本を紹介してくださいませんか」と言って、本を紹介するという建前を置いているんです。自分が楽しむためなんですね。
でも、自分が楽しくないと聴いてる人にも伝わらないですし。
だからラジオは自分の夢というか、喋りたい人と喋るために使っています。
ーなるほど。そうなんですね。そだたべさんがラジオを楽しんで作ってらっしゃるのはとてもよく伝わってきます。
私のこのインタビューも、自分がやりたいからなんですよね。自分が楽しいから、自分が読みたいからやっているんです。動機は自分という。
ところで、ラジオの中でそだたべさんの気になる発言がありまして。「本から人生を助けてもらった」とおっしゃっていましたよね。
ーきっと誰しもがオブラートに包まないと言えない話を持っているんでしょうね。本はそういうものが文章という体裁を保ちながらわりと赤裸々に書かれているので、人の奥深いところに触れることができる。
そだたべ:私小説とかはすごい内面掘り下げてますもんね。こんなこと考えてるんだみたいな。
でも、自分も言葉にはできなかったけれど同じだということに気付いたりする。
語彙力がなくて表現できないけど、このもやもやとか今の立場とかを文字で綴るのであればこれなんだなという本にいっぱい出会いました。
でも、正直言うと、私は必ずしも本を読まなくてもいいと思っています。読みたければ読めばいいし、読まなくてもそれはそれで良くて。
なんだろうな、子供たちには人と喋ってほしいですね。
ほかにも、大学生の時の私のように人付き合いがなくなった人が、本を介して人と喋るといいんじゃないかなと。
本を媒介にして、その向こう側にいる人、作者であったり編集者であったり装幀を作った方だったり、そういう方の思いを本を通して感じ取ってほしい。
本を飛び越して人と喋って、自分の人生を気分良く過ごしてもらえるならそれでいいと思うんですよね。
皆が本を読まなくても必要な人が読めばいいと思います。そういう選択肢を残しておくというのは重要ですけど。
本屋だから、「どういう思いで本屋をやっていますか?」とよく聞かれるんですけど、正直な気持ちはそうです。
特に昔話の民話とかすごくいいと思いますよ。おじいちゃんおばあちゃんから話を聞いて。それもある意味本みたいなものですよね。
尊敬している先輩の近くに行って話を聞いて自分のものにするとか。それでいいと思うんですよね。
ーこれからやりたいことはありますか
そだたべ:一番やりたいのは出版ですね。社を立ち上げてやりたいです。本を作る側。作って自分で売ること。
皆さん読書をする時間は減っていると思うんですけど、自分の時に比べると、文字を読んだり書いたりする時間は圧倒的に増えていると思うんですよ。SNSが発達しましたし。
作る側に回ることを手助けしたいんですね。出版するとか、自分で物語を綴ったり、自分の思いや体験を、本やネット上やラジオに乗せるそういう場を、もっと気軽にするのも面白いんじゃないかなと。
発信すれば逆に人のものも読みたくなりますし。
ーたしかに皆文章自体はとても読んでいますよね。
そだたべ:書くことも多くなってますよね。
あと、できれば絵本もやりたいですね。30年は読み継がれるものを作りたいなと思っていて。
編集もやって、出版もやって。誰かを繋げるみたいな感じでしょうか。企画してプロデュースして。
あとは図書館もやりたいですね。個人図書館。
ただの図書館じゃなくて既存の図書館さんができないようなことをやれる、図書館とプラス何かを掛け合わせたものとか。
とにかく、やりたいことがいっぱいあるんです。